LINE GAMESが運営する「UNDECEMBER」はPCとモバイルのクロスプラットフォームでリリース予定のハックアンドスラッシュゲームで、韓国限定のベータテスト(以下UBT)を控えている。
独特のルーンシステムとクロスプラットフォームでゲーマーの注目を集めており、UBTを前に、まだ公開されていない内容について「UNDECEMBER」の開発会社であるNEED GAMESのクー・インヨン代表が答えるインタビュー内容が公開された。
本記事のインタビュー内容を見ることで、より「UNDECEMBER」がどのようなゲームなのか、どのような運営体制でサービス予定なのか理解できるだろう。
Q.サービスの運営方法はシーズン制なのか、コンテンツ更新周期を教えてほしいです。
初めて設計する際に、シーズン制ついてよく考えました。既存のハックアンドスラッシュゲームの多くはシーズン制を採用している。これは、ハックアンドスラッシュの性質上、バランスパッチが頻繁に発生するためです。
私たちは少し違った考え方でアプローチしました。「UNDECEMBER」を継続性のあるゲームにしたかったのです。シーズン制で楽しんでいたユーザーとして、シーズンごとに新たに育てる楽しみもありますが、ゼロから始めるという負担も感じました。したがって「UNDECEMBER」はシーズン制を採用していません。サービス後もリセットせずにキャラクターを継続して成長することができるようにする予定です。
メジャーアップデートを4~6か月単位で行い、途中でマイナーアップデートを実行する予定です。マイナーアップデートは、少なくとも1か月から6週間単位で行います。
Q.なぜハックアンドスラッシュのジャンルで開発することになったのでしょうか。
もともとハックアンドスラッシュが好きなユーザーとして、ハックアンドスラッシュの楽しさを心から感じました。そして以前からハックアンドスラッシュジャンルの開発もしていました。私は自分が得意なことと開発者が得意なことを考えることから始めました。また、最近ゲームではなく、過去に感じたハックアンドスラッシュの感性を伝えたかったのです。RPGの本質を守りながら、ハックアンドスラッシュで構成されたバトルスタイルを感じてほしいです。
Q.過去に感じたハックアンドスラッシュの感性と、最近の感性の違いは何だと思いますか。
誰もが知っている「ディアブロ」を思い浮かべれば、これまで多くの人がプレイしてきたハックアンドスラッシュの理解を深めることができます。最近は「Patj of Exile」のようなゲームもありますが、あまりにコアでジャンルの性質上、参入障壁が高くなっています。参入障壁のせいでハックアンドスラッシュのジャンルに触れることができなかったゲーマーも楽しめるようにしたいと考えています。
Q.「UNDECEMBER」にはどんなコンテンツが用意されているのでしょうか。
「UNDECEMBER」はソロプレイに適したコンテンツで構成されています。もちろん、様々な協力コンテンツ、競い合うコンテンツもありますが、ソロプレイを基準として作成しています。エンドコンテンツは、キャラクターの成長要素を増やし、継続的なファームを通じてアイテムを入手できる構造になっています。数日前にコンテンツ紹介動画を公開しましたが、そこに登場するカオスダンジョンはエンドコンテンツと言えるでしょう。
Q.ハックアンドスラッシュは繰り返し行うコンテンツが多くあり、退屈さを減らすためにランダム性を追加する傾向にあります。「UNDECEMBER」に存在するランダム性とは何ですか。
UNDECEMBERの本質は「ファーム」であり、ファームに関連する要素にランダム性が見られると思います。現在、装備できるアイテムは11種類あり、ユーザーが制作できるアイテムもあります。
一方、アイテムに付与されるオプションの数は非常に多くあります。自分のビルドに適したアイテムとオプションを見つけるにはかなり時間がかかるでしょう。また、単にモンスターを繰り返し狩るだけでなく、アイテムのオプションを変更、制作などの装置もあります。
Q.「UNDECEMBER」にはクラスが存在しないとおっしゃっていましたが、育成の差別化ポイントはいくつあるのでしょうか。
各スキルの特徴を見ると、近接、遠距離、魔法の3つのカテゴリーに分類できます。細かく見ると盾、剣、短剣などに分類でき、魔法も同じように区別することができます。また、召喚士系のスキルも存在します。
明確なクラスはありませんが、クラスのようにはっきりと区別できる範疇だと言えます。ただ、私たちが追求している目標は近接キャラクターであっても、物理的なダメージに依存するだけでなく、魔法攻撃も交えて、戦闘することです。魔法は様々な元素の攻撃を組み合わせるなど、好みに合わせて使用することもできます。

Q.キャラクターの育成中にスキルを自由に変更することは可能ですか。
もちろん可能です。キャラクタービルドをゾディアック、アイテム、ルーンに大きく分けることができ、これら3つをいつでも変更できます。アイテムはファーミング要素でドロップまたはオークションハウスを通じて入手することができます。
ルーンは別のビルドに切り替えれる装置を追加しました。また、ルーンはファーミングを通じて入手できます。ゾディアックはツリー構造であり、初期化によって変更できます。ACT 5までは何度でも初期化が可能ですが、ACT 6以降はある程度コストがかかり、ゲーム内で入手できるアイテムで構成する予定です。
Q.取引はオークションのみですか。プレイヤー間の1対1の取引はサポートされますか。
個人間の取引はありません。すべてのユーザーはオークションハウスを通じて取引する必要があります。
Q.取引できるアイテムは限られていますか。
すべてのアイテムが取引できるわけではなく、取引できるアイテムは限られます。ファーミングで得られる装備は基本的に取引可能です。

Q.サービス中にパフォーマンスの高い特定のビルドのみが使用される場合があります。バランスをどのように調整する予定ですか。
最も重要なポイントは、スキル間のバランスです。特定のビルドのみが優先されることは望ましくありません。無条件に強いスキルが選ばれることがないよう、均等に調節しました。ユーザーが好みのスタイルに合わせて選択できるようにしたいと考えています。今回のUBTでスキルバランスをチェックし、テストの結果に応じて、バランス調整を行います。また、リリース後もバランスに関して注力していきます。


Q.シーズン制でない場合、サービスが長期間続くと新旧ユーザーの間で発生するリソースとインフレをどうするのか。
まず、リソースに関しては素材アイテムを使用して行うエンチャント関連コンテンツを継続に増やしていきます。また、エンドコンテンツに到達するのにそこまで時間はかかりません。急速に成長できるので、遅く始めた人でも、既存のMMORPGゲームのような大きなギャップはありません。アイテム関連もファーム中心なので、運が良ければ強力な装備を手に入れて強くなることもあるでしょう。
Q.ユーザーの立場からすると、ファーミング時に無駄なものが多いと煩わしいと感じます。ドロップバランスはどうなっていますか。
ファーミングを主体としたゲームは、欲しいアイテムが手に入らないとイライラするでしょう。「UNDECEMBER」は欲しいドロップアイテムに期待するだけでなく、アイテムを強化できる素材アイテムがたくさんあり、アイテムを他のものに変換できるエンチャントシステムもあります。このように、ファーミングだけで終わらず、他のコンテンツと併用できるようにしました。
Q.パーティープレイ中にドロップするアイテムは個人か、共有か教えてほしいです。
パーティープレイで獲得できるアイテムは共有ではなく、個別の割り当てされて表示されます。
Q.ハックアンドスラッシュゲームでは珍しいレイドコンテンツがあります。レイドについて教えてください。
レイドコンテンツを実装したのには理由があります。ソロプレイをベースに「UNDECEMBER」を制作しましたが、協力して巨大なモンスターを倒す楽しさも加えたいと思いました。ハックアンドスラッシュでレイドを実装するうえで本当に多くのことを悩みました。
「UNDECEMBER」のレイドは8人で参加でき、古典的なMMORPGのようなクラスの特徴を生かした戦闘ではありません。各レイドには攻略ポイントがありますが、特定のスキルを持つキャラクターが必ずいなければならないということはありません。各レイドにはギミックがありますが、攻略するハードルは高くはないので、楽しむためのコンテンツだと思ってもらって大丈夫です。

Q.レイドから得られる装備とフィールドで得られる装備に違いはありますか。
フィールドとレイドで得られる装備に違いはありません。ですが、レイドをクリアした際の報酬を実装する必要があると考えており、ルーンを強化できるアイテムなど検討しましたが、今も悩んでいる状況です。
レイドからしか入手できない特定のアイテムを設定すると、レイドが強制的なコンテンツになってしまいます。また、逆の場合、レイドを行う理由がなくなってしまいます。「UNDECEMBER」は最後までソロプレイをベースにしているので、社内で議論して決めたいと思います。
Q.長時間プレイするとマンネリ化する可能性があります。他のゲームでは他のクラスを育成することで解決していますが、「UNDECEMBER」にはクラスがありません。長期的なプレイの原動力をどのように確保しますか。
私たちがシーズン制ではなく持続可能なコンテンツに重きを置いている理由は、私たちがコンテンツを提供し続け、ファーミングの目的を提供し続けることができるからです。今後もアップデートを続けていく中でユーザーが飽き足りマンネリ化に陥ったりする部分があれば、新しいコンテンツを制作し、長期的な原動力を提供できると考えています。
Q.エンチャントや錬金術などの生産システムがあるとおっしゃっていました。生産コンテンツだけで最上位アイテムを制作することは可能ですか。
現在、装備とルーンをエンチャントすることができます。エンチャントの品質はファーミングで入手できるアイテムと同じです。錬金術は、装備とルーン以外のアイテムを加工することに焦点を当てています。

Q.モバイルプラットフォームでプレイする際に役立つ機能はありますか?また、各プラットフォームの印象はどうですか。
プラットフォーム間の公平性を考慮して、特定のプラットフォームに利益をもたらすものは可能な限り排除しています。プラットフォームごとにデバイスの制限があるため、モバイルとPCの操作は異なります。モバイルは繰り返しの疲れを解消するために、スマートコントロールが導入されています。
スマートコントールは、メインスキルを自動的に使用し、オン/オフを切り替えることができる機能です。「UNDECEMBER」には、一部のスキルを除いてスキルのクールダウンがありません。したがってメインスキルを繰り返し押したり、押し続けることによる疲労を解消できることが期待できます。また、移動などの操作は手動で行う必要がありますので、従来の自動戦闘とは異なり、手動戦闘の利便性を強調する方法としてご理解いただければ幸いです。
個人的にPCよりもモバイルの方が操作感がいいと思います。もちろん、PCの方がいいと言う人いました。
Q.ファーミングを目的とした設計が必要だと思います。レイド以外にチャレンジコンテンツはありますか。
ファーミングの目的とした「カオスダンジョン」があります。まず、モバイルを特性を考え、ファーミングに時間がかからない構造で短時間でクリアできるようになっています。「UNDECEMBER」はソロプレイでファーミングを楽しむことができ、協力的、競争力のあるコンテンツはメインではなく、楽しみを与えるポジションとして実装しています。

Q.Unreal Engine 4で開発をしていますが、PC環境とモバイル環境、必要スペックはどのぐらいですか。
モバイル環境に関しては、Galaxy S8がAndroidの最低スペック、iPhone6SをiOSの最低スペックとして設定しています。PC環境もそれほど高くはありません。8GBのRAMとGTX1050グラフィックカード、i5 CPUでスムーズに動作しました。
Q.PCプラットフォームについてどう考えていますか。
LINE GAMESのFLOORを利用してサービスを提供する予定です。FLOORはLINE GAMESのゲームサービスプラットフォームであり、PCランチャーを備えているため、ランチャーを介してWindowsでゲームを実行できます。今回のUBTはFLOORとAOSで実施する予定で、グローバル市場に参入する際はSteamも検討しています。
Q.ハックアンドスラッシュゲームにはハードコアモードなどの難易度コンテンツを提供することもあります。「UNDECEMBER」にも同様のコンテンツはありますか。
個人的には入れたいのですが、社内の反対が多いのでどうなるかわかりません。リリース時点ではサポートするつもりはありません。ただ、今後ユーザーとのコミュニケーションを通じて必要コンテンツと思われる場合は、実装される可能性もあります。

Q.公式サービス後、どのようにユーザーとコミュニケーションをとっていきますか。
現時点で言えることは、ユーザーとのコミュニケーションは重要だと思います。ただ、ユーザーを意見を反映させるには少し時間がかかると思います。
Q.有料コンテンツはどのようなものがありますか。
課金システムに関しては、継続して議論しています。今は方向性を見つけるプロセスだと思います。確率を伴った商品は考えておらず、ゲーム性を濁すような商品の販売も予定しておりません。

Q.UBTでユーザーに何をしてもらい、どのシステムに注目してほしいですか。
「UNDECEMBER」の特徴は、スキルシステムとアイテムです。キャラクターを成長させる過程で、ユーザーが様々なスキルビルドとその楽しさを体験できるかどうか、そしてファーミングの本質的な楽しさを感じることができるかどうかに焦点を当てていただきたいと思います。

