これまでのモバイルベースのクロスプラットフォームゲームは、ステージを一つ一つクリアしながら決まったストーリーを辿ったり、PC MMORPGをモバイル環境に無理やり移植するケースが基本だった。しかし、2020年9月に発売されたHoyoverseのオープンワールドRPG『原神』は、PCやコンソールベースの自由度の高いオープンワールドアクションをモバイル環境に合わせて新たに構築し、アニメ調で描画された魅力的なキャラクターと『原神』独自の元素反応システム、継続的に更新されるイベントとエピソードが世界的なヒットを呼び、「オープンワールドRPG+アクション+クロスプラットフォーム」の3つを備えたゲーム様式が注目を浴び始めた。
『原神』の発売から2年近く経過した現在、様々な開発会社でオープンワールドゲームを開発しているというニュースが舞い込んでくる。多くがプロジェクト段階だが、いくつかの作品はゲーム内映像を盛り込んだトレーラーを発表したり、一部地域で先に発売している作品まで存在する。
『原神』は、2022年3月時点で累計売上30億ドル(約3,900億円)を突破しており、「オープンワールドRPG+アクション+クロスプラットフォーム」の可能性を知らしめた。その後に続く作品は何があるだろうか。2022年に注目を浴びるクロスプラットフォーム対応の新作オープンワールドRPG『TOP3』を紹介していく。
『Tower of Fantasy(幻塔)』
SFの世界観とアクションRPG、MMO要素を加味
『幻塔』は、自由度の高いオープンワールドを舞台に、アクション性の高い戦闘を他プレイヤーと共に楽しめるアニメ調MMORPGとして注目されるタイトルだ。テクノロジーと未来感の溢れる広大な惑星アイダで仲間と共闘しながら物語を進めていく。
現在から数百年後の未来世界、人類はエネルギー不足が原因で地球を離れ、「アイダ星」に移住した。彗星「マーラ」を観測し、そこに含まれる未知の強力なエネルギー「オムニアム」を発見した人類はマーラを捕獲するために幻塔を建設した。しかし、オムニアム放射線の影響によりアイダ星すべてを巻き込んだ大厄災が起きてしまった。生き延びたエリート科学者たちは「ハガード」と呼ばれる科学組織を設立し、地表の生存者は「アイダの子」という反抗組織を設立した。プレイヤーは大厄災後の荒廃したアイダ星を舞台に、自身のため、そして人類の未来をかけた冒険を繰り広げることとなる。
本作では職業的な制約が存在しない。多彩な武器の組み合わせで独自の戦闘スタイルを作り出し、武器から繰り出すコンボで爽快な戦闘を楽しめる。さらに、敵の攻撃を直前に回避する「ジャスト回避」を成功させれば、武器の必殺技ゲージをフルチャージできる仕様も搭載しており、コアなアクションゲーマーも楽しめる戦闘システムとなっている。
また、本作は広大なオープンワールドを探索しながら他プレイヤーと協力プレイで謎を解いていくことがメインとなる。マップの隅々まで謎解き要素が存在しており、行く先々で頭を悩ませ、爽快な戦闘以上の没入感を味わえるだろう。加えて、本作のキャラクタークリエイトでは髪型はもちろん身長から顔の形、目など豊富なカスタマイズ要素が存在し、自分だけのキャラクターを作り出すことができ、より没入感を味わえる。また、豊富なメイクや服装も存在する。
『幻塔』2022年夏の正式サービス開始を予定しており、PC・モバイルのクロスプラットフォームに対応する。近々第2回クローズドβテストを開催するようだ。詳しくは『Tower of Fantasy(幻塔)』公式サイトを確認してほしい。
『王者栄耀:世界(Honor of Kings: World)』
中国売上トップクラスIPを使用したオープンワールドRPG
『王者栄耀:世界』は、中国のトップクラスゲーム企業Tencentの代表IPである「王者栄耀(Honor of Kings)」を使用したオープンワールドRPGである。「王者栄耀(Honor of Kings)」は、発売から7年経過した現在も中国での売上1位、2位を維持する超大作MOBAタイトルだ。
『王者栄耀:世界』は、2021年11月、Tencentが「王者栄耀」6周年記念の行事では初めて公開されたタイトルで、「ポケモンユナイト」や「コール オブ デューティ モバイル」を制作した開発会社TiMi Studiosが開発を担当している。ストーリーと世界観は、アジア人で初めてSF文学およびファンタジー文学の最高権威の授賞式として挙げられる「ヒューゴ賞」を受賞した中国作家リウ・ツーシン氏の短編小説「詩雲」を背景に制作されている。
初公開と共に上映されたインゲームプレイ映像では、高精細な半実写グラフィックで描画された広大なオープンワールドを確認することができる。その後、大型モンスターとの戦闘映像に切り替わる。戦闘方式は、モンスターの攻撃パターンに合わせてステップや転がりで回避しながら、通常攻撃とスキル攻撃でダメージを与える一般的なアクション方式で進められ、途中で状況に合わせて武器を変更しながらコンボを続けたり、敵をダウンさせて攻撃パターンを無効化する場面も確認できた。
また、主人公と同行しているキャラクターが大型モンスターのアグロを引くなど連携プレイの必要性も示唆している。使用可能武器は現在まで大剣・双剣・弓の3種類のみ公開され、映像では主人公が使用する大剣・双剣を中心に紹介された。 大剣は攻撃速度が遅い代わりに、チャージスキルを最後までチャージして放つことで大型モンスターをダウンさせるほど威力を持っている。チャージスキルのほか、大型モンスターの頭上を超えるほど高く飛んでダメージを与える豪快なアクションを確認できた。
双剣は、大剣ほどの攻撃力はないが、攻撃速度が速く、機動力に長けているため、敵の攻撃パターンに合わせて回避しながらダメージを出すことができる。武器を何種類まで装備できるかは確認できなかったが、モンスターのパターンに合わせて武器を持ち替えながら戦闘することが本作の核心となるだろう。
戦闘およびカットシーン以外の要素は公開されていないが、TiMi Studiosは「ゲームの世界観を現実的にするために自然に変化する天気を実装する」と明らかにしている。発売日程および対応するプラットフォームはまだ公開されていないが、マルチプラットフォームでグローバルに発売する予定だ。詳しくは『王者栄耀:世界(Honor of Kings: World)』公式サイトを確認してほしい。
『Wuthering Waves』
パニグレ開発会社が手掛けるポストアポカリプスなオープンワールドRPG
「パニシング:グレイレイヴン」で有名な開発会社Kuro Gameが手掛ける『Wuthering Waves』は5月26日、BilibiliとYouTubeに同時公開されたオープンワールドアクションRPGで、Kuro Game特有のカラーが盛り込まれたアニメ調グラフィックで描かれる。
『Wuthering Waves』は、正体不明の災害が押し寄せ、大半の文明が破壊されたのち、100年が経過したポストアポカリプスな世界観を舞台としたオープンワールドRPGだ。鯨飲不明の災害とともに到来した正体不明の存在により、人類は絶滅の危機に瀕したが、脅威に立ち向かうべく手段を探し、都市の再建を図る。しかし脅威はすぐそばまで迫っており、文明を完全に復元することは難しい状況の中、プレイヤーは長い眠りから目覚めた放浪者として、自分が眠っていた間に世界各地で起きた災害を調査し、災害とともに到来した正体不明の存在と戦いながら自分と世界の秘密を探る冒険を始めることになる。
発表とともに公開されたティザー映像には、ゲームプレイ映像も含まれており、オープンワールド上を多様な手段で自由に移動する姿からスタイリッシュな戦闘シーンまで確認することができる。90度の壁を走って登ったり、ワイヤーを出現させて2段ジャンプするモーションから空中で傘のようなものを使い、滑空して移動したりと自由度の高い移動が可能なようだ。戦闘シーンではさきほど紹介した移動手段を駆使して空中で特殊技を発動しコンボを決めたりと、オープンワールドだからこその戦闘シーンを確認することができた。また、ジャスト回避で敵の攻撃を避けたり、大型モンスターの顔の宝石を破壊する部位破壊要素など『Wuthering Waves』ならではの特徴も垣間見ることができた。
『Wuthering Waves』は、PC・モバイル・コンソールに対応予定で、グローバル進出を目標にYouTube、Twitterなどのグローバルアカウントを開設している。現在、中国と英語のサポートのみ確認できており、日本での発売は未定だ。詳しくは『Wuthering Waves』公式サイトを確認してほしい。