NCSOFTは2月14日、自社で開発中の新作ゲーム5種のティザー映像を公開した。様々なジャンルのゲームを公開し、各ゲームがどのように発展していくのか気になる人は多くいる。そのような要望に対して、NCSOFTは今年の下半期に発売予定の新作MMORPG『Throne and Liberty(TL)』と東洋風ビジュアルで注目を集める『Project E』の新たなトレーラー映像を3月17日に公開した。そして自社ブログを通して2種のゲームの開発方向性について明らかにした。NCが10年以上の月日をかけて制作してきた2種のゲームの特徴を探っていく。
以下は、NCの新作開発を総括するPDMO(Principal Development Management Officer)チェ・ムンヨン氏、『Throne and Liberty』のPD(Producer)アン・ジョンオク氏、『Throne and Liberty』と『Project E』の世界観を構築する「LIGHTBOX House」のハングミン氏、ユ・ヨンジュ氏が「NCの新たなオリジナルIP〈Throne and Liberty〉の躍動する世界」で公開されたインタビュー内容である。
NCSOFT、2022年の展望

開発中の新作ゲーム5種を2月に公開した。ユーザーの反応はどうだったか。
NCのこれまでのゲームを愛してくださるユーザーたちの期待と反応にいつも感謝している。今回は思っていた以上の反応を示してくれた。それは「予想外だ」という反応だ。特にNCに関心を寄せている方々は、我々の模索している方向性に気付いたようだ。
新作の方向性が以前と比べて変化が感じられる。制作にあたって注力してきた部分について教えてほしい。
NC内部では、ずいぶん昔から様々な試みをしてきた。今回の新作発表を通じて、その変化と転換への努力を大衆に初めて公開したことになる。
昨年はモバイルMMORPG開発に集中したが、今年からは様々な機種を基盤に多様なジャンルに挑戦し、グローバル市場も積極的に開拓しようとしている。実際、今回発表した新作はMMORPGだけでなく、インタラクティブムービー、アクションバトルロイヤル、収集型RPGなど多様なジャンルに布陣している。それらすべてをグローバル市場を通じて、コンソール・PC・モバイルなど様々なプラットフォームでのサービスを予定している。
コンテンツだけでなく、公開の過程も変化した。以前は開発中のプロジェクトを外部に公開することは稀だったが。
先ほども申し上げたように、NC内部ではかなり前から多様な変化の種を育てていたが、これまで紹介する機会が少なかった。2月に初公開した新規IPの多様な映像も順次公開する予定だ。まだ公開していないIPも企画、開発段階からユーザーと多方面に疎通し、フィードバックを反映しながら一緒に作っていく計画だ。
このような変化を模索するようになった特別な理由やきっかけはあるのだろうか。
とても基本的な理由だ。NCは、顧客と市場があるからこそ存在する。すなわち、顧客が望み、満足の得られるものを作るために努力しなければならない。そのため、顧客とのコミュニケーションを増やすための方法を模索してきた。
どのようにコミュニケーションをとっていくのか。
今回のインタビューのように『Throne and Liberty』のPD、アン・ジョンオク氏、『Throne and Liberty』と『Project E』の世界観を制作したハングミン氏、ユ・ヨンジュ氏たちが直接ゲームを紹介するように、開発者たちがユーザーとコミュニケーションする機会を増やしていこうと思う。開発過程を公開することで派生するコンテンツが、私たちが考えられなかった新しい楽しみを発見する契機になることを期待する。
オリジナルIP『Throne and Liberty』とは

『Throne and Liberty』は、公開されたIPの中では最もなじみのあるプロジェクトだ。これまで「The Lineage」として紹介されていたIPである。
そうだ。『Throne and Liberty』はリネージュから始まったプロジェクトで、プロジェクト当初の目標も「次世代リネージュを作ろう」だった。3年前の春ごろ、「Throne and Liberty」の物語を作る過程で、新たなIPとして『Throne and Liberty』を具現化する運びとなった。
現在のゲームトレンドに合わせながら開発を進めていると、原作のシステムやコンテンツなど多くのものを脚色したり外す必要が出てきた。そのため、ゲーム性も原作とは次第に変化していき、ストーリー自体も完全に書き直すこととなった。書き直した結果、開発チームの中でも「これをリネージュと呼ぶべきか」という疑問が出てきた。そこで新しいストーリーにふさわしい名前に変えることになった。リネージュに縛られない開発チームの意志も込められている。

オリジナルIPとして『Throne and Liberty』の特徴は何か。
『Throne and Liberty』は、PCとコンソールを基盤に自制MMOが見せるべき価値を原点から新たに構想したプロジェクトである。プレイヤーたちが自由に探検して遊ぶ世界にどれほどの没入感を与えられるかに注力して設計してきた。
一例として、同じ地域でも、天気が変わると地形が変わったり、風の方向によって戦闘の流れが変わったり、時間が経つにつれて新たなモンスターに遭遇することもある。狩りの方法と目的もこれに合わせて変化を続ける。フィールドと環境、プレイヤーの3つの要素がお互いに影響を与えながら、同じ地域でも様々な様相で遊べるように注力した。多様な変数が多彩な遊び方を作り出すと期待している。

『Throne and Liberty』のターゲット層は?グローバルでの発売を控えているだけに、準備してきたコンテンツはあるだろうか。
やや理想的だが、純粋にプレイヤーたちに『Throne and Liberty』の面白さをアピールすれば、世代や地域などの境界なく愛される作品だと思う。これまでNCに足りなかった部分は何のか悩むとこから始め、それを重点的に補完し『Throne and Liberty』を作った。東西洋を分けたり、特定のターゲットを狙ったわけではない。
『Throne and Liberty』の核となるコンテンツは何か。
大きく分けて2つだ。1つは蓋然性があり、しっかりとした体系を備えた世界観だ。まず、ゲーム内のキャラクターに対する理解度を高めることを優先することで、プレイヤーが世界に没頭でき、愛情をもって楽しむことができる。そのためには、キャラクター生きていくゲーム内の世界観をしっかり裏付けなければならない。ストーリーと世界観はゲームの中で自然に理解できるように、主にコンソールゲームやアドベンチャーゲームに採用される様々なプレイツールや演出手法を活用した。

もう1つは挑戦コンテンツだ。NCの従来のゲームは、プレイヤーらの競争に集中したコンテンツが多かった。もちろん、特定の層と地域では血を沸かせ、それだけ強い楽しみを与えることができる。しかし現実は、それよりはるかに多くのプレイヤーが競争を通じて頂点に達するより、完成度の高い挑戦課題を求めている。そこで『Throne and Liberty』を制作時、こうしたチャレンジコンテンツを多数配置しようとした。ボスモンスターを攻略する際、複数のプレイヤーがボスの特徴とスキルをよく把握して各自の能力をうまく活用して協力してこそクリアできる。
ゲーム内で動物にも変身できると聞いた。このようなコンテンツを適用した背景は?
『Throne and Liberty』の主なワールドデザインは2つに集中した。1つはすべての空間をシームレスに連結することで、もう1つはすべての空間をプレイヤーが立体的に感じるように構成して、この空間をうまく活用することだ。
空間を生かすために瞬間移動での移動方法を減らし、スピード感をもって高低差を行き来する移動方法を考案した。私たちはその答えを動物に求めた。陸海空に特化した様々な動物に変身して移動することができ、各動物の移動技術を活用してこそ探索が可能な地域もある。また、動物に変身して他のプレイヤーを乗せることもできる。

ゲームの中の世界で起こる全てのことの蓋然性を重要に考えている。このような随所の要素が没入感を増やしているようだが、他に『Throne and Liberty』だけのコンテンツがあれば紹介してほしい。
『Throne and Liberty』では昼と夜、雨と風のような環境要素が刻々と変化する。単に背景画面が変わるだけではない。最初は認知しにくいが、キャラクターが成長すればするほど、次第に環境要素の比重が少なくないことが分かるようになるだろう。
例えば、弓を射るときに風の方向と強さが射程距離に影響を与え、雨が降っているときにライトニング系列の魔法を使えば、単体攻撃が連鎖効果を起こす広範囲スキルに変わったりもする。また、地形に影響を受けることもある。攻城戦では城に潜入できる複数の経路があり、城の地下下水道を通る方法もある。しかし、雨が降っている場合、水が満ちて使用できないルートに変わる可能性もある。
逆にプレイヤーが環境に影響を与えることもある。一定の条件が揃えば、プレイヤーが日食や雨風を起こすなど、自分が必要なときに環境を望む形に変えることができる。

世界観を共有する『Throne and Liberty』と『Project E』

『Throne and Liberty』の世界観は、NCが久しぶりに披露するオリジナルストーリーだ。この世界観を語るには、『Project E』についても話さなければならない。2月にティザー映像を公開し、『Project E』と世界観を共有すると発表した。このようになった理由を教えてほしい。
『Throne and Liberty』の世界観は、LIGHTBOX Houseで構築した。LIGHTBOX Houseは、新たに企画されたIPの大まかな話のコンセプトを貰った後、開発部署と議論しながら世界観の構築を始めた。しかし、数十~数百のコンセプトが開発まで残るケースはごく少数で、より多くのストーリーを伝えられない点は残念だ。

『Throne and Liberty』の世界観を構築する初期の頃から、この世界観を様々な話に派生し、他のIPにも適用できればと思っていた。そのため、世界観の大きな軸を詳細に設定した。惑星全体の地図も、空間や時間、気候などを考慮して製作した。
どのような方式で世界観を共有するのか、もっと詳しく説明をお願いしたい。
『Throne and Liberty』と『Project E』は同じ惑星に存在し、重力や生態的特徴はもちろん、魔法のようなファンタジー的起源も同じである。ただ、大陸は互いに異なるため、それぞれ文明と歴史の特徴が異なる。同じ惑星で起きた重要な事件もまた、2つのゲーム中で異なる解釈で進行されるため、より特別な楽しみを感じることができるだろう。

2つのゲームの世界観において重要なストーリーとは何か。
2つの重要な歴史的事件が存在する。1つ目は、神を封印しようとした歴史だ。当時、神々の戦争が起こり、魔力石「シラベスの星」にシラベスを封印しようとしたが失敗し、強力なエネルギーを凝縮した魔力石が粉々に砕け、惑星のあちこちに散らばってしまう。その結果、『Throne and Liberty』では散らばったシラベスの星を手にしようと戦争の歴史が始まる。『Project E』ではシラベスの星のいくつかの欠片が大陸に落ち、4つの空島と湖、神木などが誕生し、大陸に大きな影響を与えた。

2つ目は、戦争である。人間はエルフに魔法を学び、この魔法でエルフと戦争をした歴史がある。また、オークは部族を統合するために大規模な戦争を行う。このような戦争の結果、ある種族は以前住んでいた土地を離れ、ある部族は名前を変えて生きていくことになる。これが『Throne and Liberty』と『Project E』の世界観に重要な2つの歴史的事件だ。

『Throne and Liberty』と世界観を共有することで、トレーラー映像公開以降、『Project E』に対する関心も非常に高くなった。『Project E』について簡単に紹介してほしい。
『Throne and Liberty』制作時、同じ世界観を軸とする作品を考え、内部で進められていた東洋コンセプトのビジュアルプロジェクトとのコラボレーションが決定した。そこで「東洋の多様な美しさと神秘さを見せることで世界観を確立しよう」という方向で開発が進められた。そこで、ぷろじぇく名に「東部(Eastern)」を意味する「E」がついた。
公開された映像には韓国風の姿が映っているが、今後16の国を構成し、様々な東洋の歴史・生態・ビジュアルを考慮して適用できるように制作されている。だからといって西洋を排除するわけではなく、ファンタジーが加味された『Project E』の世界の中で多様な文化圏の姿が美しく融合して広がるように力を注いだ。

最後にゲームを待っているプレイヤーたちに一言お願いする。
これで見てきたMMOとは少し違う斬新なMMOを作るために熱心に、真剣に準備した。今回披露した映像も、実際にテストでプレイした場面をそのまま盛り込んでいる。顧客と多方面に疎通し、変化するゲームにしようと思う。
企画段階から顧客との疎通を強化しながら感じた点は、プレーヤーたちの希望が非常に具体的で多元化していることだ。ゲーム市場はどの市場よりも性向が早く変わり発展するため、これからさらに顧客との開かれた疎通を通じて積極的に意見を汲み取らなければならないと思う。より新しいものを世に出すべく努力している。『Throne and Liberty』をはじめ、『Project E』、その他NCで開発する新しいプロジェクトの歩みを期待して見守っていただきたい。